【2年生】生きかたゼミを実施しました
2026.10.21
【2年生】生きかたゼミを実施しました
今回は、群馬県高崎市の伝統工芸「高崎だるま」を世界に届けるconcon株式会社の代表取締役CEO、髙橋史好さんをお招きし、2年生を対象に「生きかたゼミ」を実施しました。
髙橋さんは、Forbes JAPAN 2024「カルチャープレナー」に選出され、スヌーピーやF1とのコラボレーションも手がける、今注目の起業家です。生徒たちにとって年齢の近い先輩でもある髙橋さんから、現在に至るまでの歩みと、その根底にある思いを伺いました。
華やかな活躍の裏にあったのは、「今いる場所が好きじゃない」という思い。
家庭と学校のあいだで居場所を探していた高校生が、なぜ16歳で一人インドへ渡り、やがてダルマ屋になったのか。その人生の転機をたどります。
◉ 展示用のダルマが「30万円」で売れた
髙橋さんの会社は、売り上げの9割以上がダルマ。インバウンド向けの「TOKYO LOLLIPOP」と、企業のロゴを載せて贈る法人ギフト「カイシャダルマ」の2つのブランドを展開しています。
そんな髙橋さんがダルマ屋になったきっかけは、思わぬ出来事でした。それまでは、他人が作ったサービスを紹介するYouTubeの仕事をしていて、自分では触れたこともない商品を扱うことに、虚無感を抱いていたそうです。「実体のあるものを仕入れて売る、商売の基本をやってみたい」。そう考えて、自分の会社でアクセサリーブランドを立ち上げました。
そのブランドで、お正月の初売りのポップアップに出店したときのこと。百貨店から、1週間だけショーウィンドウを使っていいと声をかけてもらい、通りがかりの人が思わず足を止めるような飾りつけが必要になりました。ところが、業者に頼むと見積りは200〜300万円。立ち上げたばかりの会社には払えません。そこで思いついたのが、地元・高崎のダルマでした。大きくて目立ち、縁起物でお正月らしく、海外の人にも喜ばれそうです。髙橋さんは実家の近所の職人さんに、ブランドカラーのピンクと青のダルマを作ってもらい、売り物ではなく「飾り」としてウィンドウに並べました。
すると、通りかかる外国人観光客が次々に足を止めて写真を撮り、2日目には「いくらでも払うから売ってほしい」という夫婦が現れます。提示された金額は30万円。ダルマは高くても1万円ほどの世界で育った髙橋さんにとって、衝撃でした。世界観を作り込めば、海外の人は30倍の価値を感じてくれる。ポップアップが終わった2週間後には、会社はダルマ屋に変わっていたそうです。
◉ 16歳、インドで見つけた新しい世界
両親はどちらも高校の先生。幼い頃から学校と家庭を中心とした生活を送っていた髙橋さんにとって、身近な大人や価値観に触れる機会は限られていたといいます。
そんななか、ある日曜日の朝、テレビで目にしたのが「インドに行くと人生が変わる」という特集でした。まだ知らない世界に触れてみたい。そんな思いから自らホームステイ先を探し、16歳で一人インドへと旅立ちました。
父親からは、大学に合格するまで口をきいてもらえないほどの大きな決断でしたが、母親はこっそりと背中を押してくれたそうです。
◉ 路上の8歳の少年が教えてくれた「起業」
ホームステイ先は、インドの経営者の家でした。そこで毎日のように「起業しなさい」と言われても、当時の髙橋さんには、その意味がよく分かりませんでした。
そんな髙橋さんの意識を変えたのは、ある観光地で出会った8歳の少年でした。
観光地の入口で、靴を脱ぐ場所で困っている外国人観光客に近づき、英語も話せないながら、一本の紐で靴をまとめて縛り、見張る(防犯)。その対価として、一人あたり約170円を受け取っていたのです。
その姿を見た経営者は、髙橋さんにこう伝えました。
「彼こそが起業家だよ」
特別な資金や人脈がなくても、自ら工夫し、目の前の人の困りごとを解決してお金を生み出す。何も持たない8歳の少年が目の前で実践している姿を見て、髙橋さんは「私なんて恵まれているのに、まだ『起業なんてできない』と自分は思っているんだろう」と気づいたといいます。
◉ 持ち物はスマホと時間だけ
とはいえ、お金も人脈もスキルもなかった髙橋さんが、最初に始めたのは、スマートフォンで撮影したインドの日常をTikTokに投稿することでした。
投稿は数百万回再生され、夜中になっても通知が鳴りやまないほどの反響がありました。それは、自分でゼロから何かを生み出し、社会から反応が返ってきた初めての経験だったといいます。
その後、大学では仲間とともにインド向けのYouTubeチャンネルを運営し、登録者数は約17万人にまで成長。さらに、日本で働きたいインドの人々が企業に採用されるきっかけも生まれました。
最初から特別なものを持っていたわけではない。身近にあるものを使い、自分にできることから始めた。その小さな一歩が、やがて多くの人や社会とのつながりを生み出していったのです。
◉ 高校生へのメッセージ
- 本心を「ないこと」にしない。「お金持ちになりたい」「モテたい」でも、本当の欲求でないと、つらい時期は乗り越えられない。
- 「持ち物がない」を先延ばしの理由にしない。いまある持ち物でできることがある。
- うまくいく唯一の方法は、やめないこと。撤退を決めたときに物語は終わる。
- これからは「真剣」の時代。泥臭くても、ちょっとダサくても、続ける人がかっこいい。
- 成功者の話は編集されている。「自分とは違う」と思いすぎず、自信を持って一つずつやっていけば大丈夫。
「始まりは恥ずかしいと思いながら始めたTikTokでも、続けていたら誰かの人生に届いた」。
そんなお話に、進路を考え始めた2年生の生徒たちは真剣に耳を傾けていました。
髙橋史好さん、貴重なお話をありがとうございました。
「生きかたゼミとは」
3年間で30人の輝く大人に出会うをコンセプトに、
毎回いろんな方々が大阪偕星に来て、自身の高校時代や
今の生きかたについて語ってもらっています。












