【2年生】生きかたゼミを実施しました
2025.10.29
今回は“たこ焼き先生”こと川人祐太さんをお招きし、生きかたゼミが行われました。
川人さんは午前中は通信制高校の先生、午後からはたこ焼き屋さんという、少し変わった二足のわらじを履いて活動されています。
天王寺高校、大阪大学出身という経歴をもち、テレビ番組やSNSでも話題に。YouTuber「とみビデオ」さんとのコラボ動画は1800万回以上再生されるなど、幅広い世代から注目されています。
また、noteで月額100円からのサポーターを募り、その支援金で子どもが無料でたこ焼きを食べられる「たこ焼きチケット」制度を運営するなど、地域に“居場所”をつくる活動もされています。
教員からたこ焼き屋へ
川人さんはもともと大阪市の中学校で教員をされていました。
安定した公務員の職を手放してまで、なぜたこ焼き屋を始めたのか。
「コロナの時に普通に暮らしていると、雑談ができなくて。。。皆さん大人になると地元から友達が消えるって、バグが起こるんですね。その感覚と同じようなことがコロナ化にはあった」と振り返ります。
「雑談したいなと思って、どうやったら雑談できるかなって寝ながら考えてたら、『お、たこ焼き屋さんやったらできるやん』って思いついて、ツイッターに『たこ焼き屋さんやろうかな』って書き込んだら、半年後にたこ焼き屋さんができてたんです」
もともとたこ焼き作りの経験もなかったそうですが、「ただの思いつき」で行動に移したとのことでした。
「好きなことで生きていく」は罠?
トークの中で川人さんは「好きなことで生きていく」という言葉に対してこう話します。
「『好きなことで生きていく』って結構やりがちじゃないですか。それは罠だと思ってて。YouTuberとかって“好きなことで生きていく”みたいに言うけど、あれけっこう難しくてトラップがあるんですよ」
「皆さんこれだけならできるって覚えておいてほしい。『できるだけ嫌なことをせず生きていく』のは『好きなことで生きていく』よりずっと簡単なんです」
さらにこう続けます。
「好きなこととしんどくないことって一緒やなって思いがちなんですけど、全然そんなことなくて。僕筋トレ好きで毎日やってるんですが、筋トレ10時間やれって言われたらしんどくて無理なんです。でも『好きじゃないけどしんどくないこと』ってあるんですよ。歯みがきってそうでしょ?楽しくないけど続けられる。だから好きじゃなくても“しんどくないこと”を仕事にしたらいいと思うんです」
「当たり前」はすでに強み
川人さんは「しんどくないこと」を見つける方法についても話しました。
「今すでに皆さんが“当たり前にできていること”を棚卸ししてみてください。朝起きて同じ時間に学校に行く、これだけでも社会に出たらすごいことなんですよ。
僕の知り合いで“靴を履けない人(履くことが嫌い)”がいるんですけど、それだけで仕事に就けない。だから皆さんが“普通”にできてることは、他の環境では特殊な能力なんです」
「子どもと関わるのが苦じゃない」「毎日人と話すのが平気」――そんな“当たり前”が、別の世界では価値になる。
「環境を変えると、“当たり前”が強みに変わる」と語る川人さんの言葉に、生徒たちも大きくうなずいていました。
二つの仕事観
午前は学校の先生、午後はたこ焼き屋。どちらが好きかという質問に、川人さんは即答しました。
「どっちでもないんですよ。比べられないんです。妻と娘どっちが大事かって聞かれるのと一緒で。どっちも大事なんです」
一方で、仕事観についてはとても現実的です。
「学校の先生は“仕事”です。お金を稼ぐために働いてます。もちろんやりがいはあるけど、天職というより“しんどくない仕事”なんです。昼からのたこ焼きはどちらかというと“好き”でやってる。」
「仕事はだいたい惰性でやってます」と笑いながらも、**“無理なく続けられる仕組み”**を自分で作っている姿が印象的でした。
質問コーナーより
生徒たちからも多くの質問が寄せられました。
Q.「ぶっちゃけ稼げるんですか?」
A.「全然儲からないです(笑)。バズり散らかしてるのに儲からん。もっとお金くれたらいいのになって思ってます」
Q.「たこ焼きを作るときに何を思う?」
A.「面倒くさいなって思ってやってます(笑)。でも休みたい時に休めるようにしてるんで大丈夫です」
Q.「今ベンチプレス何kg上げられますか?」
A.「マックス一発で120kgです」
最後のメッセージ
トークの最後に、川人さんは生徒たちへこう語りかけました。
「割と道なんか適当に歩いていっても生きていけるんで。大体楽しく過ごしたら楽しいですよ」
そして、印象的な締めの言葉。
「アイスクリームって食べたことあります?あれって200年前やったら王様も食べられないんですよ。
でも今はコンビニで1時間アルバイトしたらジャイアントコーン5本食べられる。奇跡だと思うんです。
だからしんどい時はアイスクリーム買いに行って、“200年前の王族も食われへんかったからな”って思いながら食べてください」
川人さん、等身大でユーモアにあふれたお話をありがとうございました。
生徒たちにとって、“好き”や“得意”だけに縛られない新しい働き方・生き方を考えるきっかけになりました。
「生きかたゼミとは」
3年間で30人の輝く大人に出会うをコンセプトに、
毎回いろんな方々が大阪偕星に来て、自身の高校時代や
今の生きかたについて語ってもらっています。
「川人祐太さん」
1987年生まれ、大阪市出身。高校数学教師でありながら、たこ焼き屋の店長。大阪大学卒業後、4ヶ月間のフリーターを経て母校の大学職員に。その後「実際に生徒と関わりたい」という気持ちから通信で教員免許を取得。大阪市立中学校で6年間、現在は通信制高校で教師として勤務。コロナ禍に「子どもたちがいろんな人と関われる、雑談が集まる場所を作りたい」という思いから、子どもは無料のたこ焼き屋さんを開業。原資は大人。noteで月額100円からのサポーターを募り、その支援金で子どもが無料でたこ焼きを食べられる「たこ焼きチケット」制度を運営するといった独自のアイデアからテレビ番組やSNSでも話題に。YouTuber「とみビデオ」さんとのコラボ動画は1800万回以上再生されるなど、幅広い世代から注目されています。













